いきいきレポート JA愛媛たいき管内で農業を営んでいらっしゃる方々からへのインタビューをレポート形式でご紹介していきます。
 

野菜作りは土作り次第






大洲市菅田 竹岡 宏晃さん百合江さん   


日中はまだまだ残暑厳しく夏日が続いていますが、朝晩は涼しくなり、夜窓を開けていると虫たちが鳴く音色が聞こえてきます。季節は秋。秋と言えば食欲の秋です。大洲で秋を代表する食べものと言えばやっぱり芋炊きではないでしょうか。それぞれの家庭の味があると思うのですが、今回は里芋を栽培されている竹岡宏晃さん、百合江さんご夫婦を訪ねてみました。宏晃さんと百合江さんは里芋20aをはじめ、その他にも水稲250a、きゅうり40a、ブロッコリー60a、ナス10a、キャベツ20a、モロッコインゲン10aなど様々な野菜を栽培されています。宏晃さんに今年の里芋の出来をお伺いすると「立派に育っているよ。土がいいから。野菜作りは土作り次第だよ」と大きく育った里芋畑を見せて頂きました。宏晃さんに農業をしていてのご苦労をお伺いすると「自然災害が本当に恐ろしい。特に露地野菜中心農家は、てき面にやられてしまう」昨年は度重なる台風被害や水害で収穫間近の野菜が一瞬で駄目になったそうです。「ゲリラ豪雨なんてもの昔はなかったのにな」と近年の気候変動も野菜作りに大きく影響しているそうです。農業の面白さをお聞きすると「考え、動いた結果が裏切らない」と話されました。百合江さんは「『愛たい菜』ができて自分のやってみたいことができるようになりました」と話します。今まではなかなか作ってみたくても作れなかった野菜なども作れるようになり、野菜作りの幅が広がったそうです。宏晃さんにご趣味をお聞きすると鉄砲だそうで、取材にお伺いした前日も、いのしし3頭を仕留めたそうです。百合江さんのご趣味はバレーに料理教室。バレーは主審ができる免許をお持ちです。また地域でご詠歌の会にも入っているそうです。残暑厳しくまだまだお忙しい日々が続くと思いますが、お二人力を合わせてがんばってください。余談ですが里芋の歴史は古く平安時代の「和名抄」という辞典に里芋が食用になる事が記されていて、「延喜式」という法典には栽培方法が記載されているそうです。

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園に残した足跡の数だけ結果につながる






大洲市上須戒 梶谷 達男さん   


上須戒梨生産組合は昭和63年に、大洲市にはなかった観光梨園を開園し、高品質で安全な梨の生産に励み今年で25年目になります。生産組合員全員がエコファーマーの認定を受け、堆肥などを利用した有機栽培、そして減農薬栽培に取組み、環境にやさしい、安心して子供達が皮ごと丸かじりできる新鮮でおいしい梨づくりに努めています。今回は今年から上須戒梨生産組合の組合長を務められる梶谷達男さんを訪ねました。達男さんは農業を始められて37年目。185アールの広い梨園で、品種は幸水を中心に長寿・豊水・新高の品種を栽培されている梨専業農家です。取材に訪れたのは7月下旬。8月3日から開園する観光梨園の準備等、陽射しの強い中お仕事中でした。今年は例年に比べて花が咲く時期が遅かったので、8月3日に観光梨園が開園できるか心配されていたそうですが、例年通りの実ぶりになり、今年もおいしい梨に育ちました。達男さんに梨園をしていてのご苦労をお伺いすると「年間の管理が必要。園に残した足袋の足跡の数だけ結果になるので、目に見えにくい世話が大切で大変です」と話されました。梨園をやっていて良かったと思うことをお聞きすると「一所懸命に育てた梨を毎年購入してもらい美味しいと言って食べて頂けること」だそうです。遠くは北海道の方から注文も受けるそうで、顔を見た事もない方からお礼の電話や、注文をうけると毎年美味しい梨を育てないといけないとやる気がわくそうです。上須戒の梨の美味しさの秘訣の一つは無袋栽培。果実に袋がけはせず、直接日光に当てて栽培するので、病害虫の心配も増えるのですが、袋がけしているものよりは味が良いようです。ご趣味をお聞きすると読書だそうで、雨が降り農作業ができないときは晴耕雨読ではありませんが、読書をして過ごされるそうです。達男さん達上須戒梨生産者組合員は、上須戒梨のブランド化ということで品質にバラツキが出ないよう定期的に研修会を行い意識統一とさらなる高品質化を目指し、みんなで努力して消費者に信頼される『産地づくり』に努めています。
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人と人とのふれあいが好きなんです






大洲市春賀 西本 初子さん   


パンと言えば「アンパン」「ジャムパン」「カレーパン」「クリームパン」「食パン」や、最近では「ちくわパン」など色々な創作パンが沢山あります。今回は「愛たい菜」に菓子パンや総菜パンを出荷販売している西本初子さんにお話をお伺いしました。初子さんの作業場を訪ねてみると、パンの焼ける芳しい香りが辺りを漂っており、その香りに引きつけられるように中へおじゃましました。初子さんは、松山で5年間、パン作りのスクールに入り勉強をし「いつかは自分でもパンを作って販売できたら」という夢を実現しました。作業場には3台のオーブンが「ブリオッシュ」をはじめ、色々な種類のパンを焼いていました。初子さんに「朝は何時くらいから作業をするのですか」と訊ねると、「夜中の1時30分から2時ごろかな」・・・質問をした私は「えぇ!」と驚いてしまいました。「愛たい菜」をはじめ、多方面で初子さんのパンを待っている人がいるので、一日約180個から200個くらいのパンを作るそうです。生地をつくり、寝かせ、形をつくり、焼きあがるまで1行程・約3時間かかるそうで、どうしても夜中から作らないと間に合わないそうです。初子さんのパン作り一番のこだわりは「パン生地」だそうで「選びに選んだ粉を使って生地を作っているので、これだけは代えられない」そうです。その極上の生地でつくる焼きたてパンはしっとりもっちりしており、噛めば口の中で香ばしい香りと生地の甘さが広がります。またアイデアウーマンでもあり、スティック状のパン。見たときにチョコレートが絡んでいるのかなと思ったら、スティック状のアンパンだそうです。スティック状にすることで、最初の一口目からパンとあんこが絡まって食べられるように、丸ではなく棒にしたそうです。一つ頂いてみると、確かにあんがまんべんなくパンと絡まり最後までおいしく頂けました。過去5回「愛たい菜」で開催された加工品生産者の方を対象とした味見会では、必ず上位に入賞をされる初子さんのパン。研究し、労を惜しまず作っているので、あの味が作られる事を取材して分かりました。

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去年つくったものよりも良いものを作っていく






長浜町櫛生 梶尾 一正さん満智子さん  


「清見」と「ポンカン」を交配してできる「不知火」。なかでも糖度の高いものを「デコポン」の名称で知られています。名前の通り果実上部にある凸が特徴的です。今回は「不知火」を栽培されている梶尾一正さん、満智子さんご夫婦を訪ねました。一正さんと満智子さんは不知火を20a栽培、その他にも、みかん40a、キウイ45a、ハウスでトマト10a、露地野菜30aを栽培されております。取材にお伺いした時はキウイの剪定作業もおわり、不知火の収穫も一段落着いた頃でした。収穫した「不知火」には全てに白いストッキングのような布が被せられておりました。11月の末頃に1個1個全ての実に被せるそうで、寒さ対策や着色、風対策、鳥や害虫等から実を守ってくれるそうです。「だから収穫前の園は黄色じゃなく白色だよ」と話されました。「今年の不知火はたくさん出来た」と話される一正さん。就農して50年以上。実家が農業をしており、「自然と後を継いでいた」と当時を思い出していました。一正さんに農業の魅力をお聞きすると「苦労の積み重ね。苦労した事が形になり成長した農産物を収穫する時の喜びは一番気持ちがいい。苦労が多いほど楽しみは倍になってかえってくるし、小さいけど夢をもって頑張れる」と話されました。一正さんは「去年作ったものよりも良いものを作っていこうという気持ちをいつも持っている。苦労を惜しまず、自分自身に勝つように育てているよ」と農業に対して強い気持ちをお持ちです。ご趣味などなにかありますかと尋ねると一正さんは「若い時は魚釣りなどしたけど、今は農業が一番楽しい」とおっしゃいました。満智子さんは「お花つくりを楽しんでいます。ストレス解消になりますよ」と話されました。これからやってみたいことをお聞きすると「二人健康に注意して、手を抜かず頑張っていきたい」と話されました。今後益々お二人で消費者に対し、気持のこもった農産物を作ってもらいたいと感じました。余談ですが、「不知火」同様「清見とポンカン」を交配した品種に「はるみ」があります。これは親ポンカンの品種の違いで2種類に分かれるそうです。
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